なにわ忠臣蔵伝説

 98年、第9回「朝日新人文学賞」を受賞した作品です。
 83年、28歳のときに「こうであって、なぜこうでなければならないか」で『野性時代』新人文学賞最終選考候補作となり(落選するも三田誠広氏らの支持で本誌掲載)、92年、37歳のとき「奈良林さんのアドバイス」で『小説新潮』新人文学賞佳作を受賞し、で、この「なにわ忠臣蔵伝説」で43歳にして、ようやく新人文学賞にたどりついたということです。
 もちろん受賞は嬉しかったが、新人賞というもの、一度取ってしまうと、もう各新人賞公募へは投稿ができない。それまでは、書いては新人賞投稿、書いては新人賞投稿というサイクルで過ごしてきたので、これからあとはどうしたらいいのか分からなくなってしまった。
「受賞第一作」なるものは、もちろん担当編集者は読んでくれたが、「これはどうも・・・」と突き返され、それ以後ももちろん何度も持ち込みをしたが、だんだんちゃんと期待を持って読んでくれるということがなくなってきた。
 それに、あの“持ち込み”というのはとても大きなエネルギーを要する。新人賞投稿の方がよっぽど楽だった気がする。

 忠臣蔵は前から好きで、それに競馬講釈の旭堂南太平洋(現“太平洋”)を通じて、講談師一門の人たちとも知り合ったので、それを一緒にして作品にしたものです(もちろん旭堂一門は忠臣蔵ばかりやる訳ではなく、作品のほとんどはフィクションですが)。

 この「なにわ忠臣蔵伝説」は98年朝日新聞社より単行本化されましたが、もうずいぶん前に絶版になっているので、興味ある人はこちらで読んでみてください。

2011年 乗峯栄一

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