フンボルトの母

 フォークランド紛争のとき、イギリス戦闘機シーハリアーの爆音に驚いて数万頭のペンギンが将棋倒しになって死んだという噂を聞いてから、ペンギンのことを調べだした。ペンギンというのはほんとに気のいいやつで、繁殖地に天敵がいなかったことから人間にもほとんど警戒心を持たず、南極に行った人間がガサッと両手で抱えれば4、5頭捕まえて帰れるとまで言われたほどだ。大体2個の卵を産み、産卵すると同時に抱卵を父親が替わり、母親は海に餌取に行って鋭気をやしなうという。こりゃ、長谷川伸の「瞼の母」ではないかなどと思った。
 06年に芝居をやった「瞼のマザー」の台本の元になったものでもある。

2011年 乗峯栄一

フンボルトの母 全文

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